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越智 義浩; 長谷川 登; 鈴木 庸氏; 助川 鋼太*; 河内 哲哉; 岸本 牧; 永島 圭介
JAERI-Tech 2004-062, 32 Pages, 2004/11
繰返し頻度0.1Hzで動作する軟X線レーザー装置のドライバーレーザーとして、高繰り返しチャープパルスレーザーシステムの設計を行った。前段増幅部としてパルスの制御性にすぐれた光パラメトリック増幅器(OPCPA)を用いた。主増幅部にはレーザーガラスを用いるため、優れた放熱効果にすぐれたジグザグスラブ型増幅器を用い、小さいビームサイズでマルチパス増幅させた後、ダブルパス増幅を行う二段階増幅を採用した。また、像転送系をシステム全体に組み込むことで増幅レーザー光の空間強度分布の均一化を図った。本報告では、各部分について試作器を製作して行った増幅特性評価の結果と、それをもとに決定したシステムの最終仕様について報告する。
山川 考一; Barty, C. P. J.*
Optics Letters, 28(23), p.2402 - 2404, 2003/12
被引用回数:32 パーセンタイル:76.13(Optics)われわれは、繰り返し数10Hz,出力エネルギー20mJ以上を発生する広帯域リング型チタンサファイア再生増幅器を開発した。チャープパルス増幅法と再生パルス整形技術により、出力エネルギー10mJ以上の2波長フェムト秒レーザー光(波長間隔120nm)の発生に成功した。また、発生した2波長フェムト秒レーザー光の差周波混合を行い、波長6ミクロンから11ミクロンまでの中赤外光発生に成功した。
西岡 一*; 河仲 準二
光アライアンス, 14(11), p.21 - 25, 2003/11
原研光量子科学研究センターでは小型・高効率で高繰り返し可能な次世代超短パルスレーザーとして半導体レーザー励起によるYb系レーザーを研究開発中である。同レーザーの実現によりレーザー加工などの従来の応用分野の急速な発展や高強度場科学などの新規分野の開拓が大きく期待されている。本報告では、半導体レーザーによって直接励起でき、簡単な構成で高出力の超短パルス光を発生できるYb系レーザーの特徴と、光量子科学研究センターで行われた最先端のレーザー装置の開発について概説した。
河仲 準二; 山川 考一; 西岡 一*; 植田 憲一*
Optics Letters, 28(21), p.2121 - 2123, 2003/11
被引用回数:86 パーセンタイル:93.67(Optics)原研光量子科学研究センターでは次世代超高ピーク出力レーザーとして半導体レーザー励起によるYb系固体レーザーの開発を行っている。これまで半導体レーザー励起によるフェムト秒発振器の開発に成功し、今回、発振器に続く初段増幅器として再生増幅器の開発を行ったので報告する。発振器からのフェムト秒パルスをファイバーにより1.2nsにまで時間伸張し再生増幅器に注入する。再生増幅用レーザー媒質としてYb:YLF結晶を用い、これまでの基礎研究から得られたデータをもとに、同材料を液体窒素クライオスタットで冷却することにより超短パルスレーザー材料としての特性を劇的に高めた。これにより再生共振器内を12往復した後、30mJの出力が得られた。これは、半導体レーザー励起のフェムト秒レーザーとしては最高出力である。増幅率は10倍であり初段増幅器としての性能を十二分に達成できた。また、回折格子ペアによるパルス圧縮を試みた結果、12mJ, 800fsの超短パルスを得ることに成功した。したがって、本システムのみで応用研究、例えば、バイオや物質加工,表面処理などの研究を遂行できることを示した。
山川 考一
JAERI-Research 2003-017, 9 Pages, 2003/09
われわれは、繰り返し数10Hz,出力エネルギー20mJ以上を発生する広帯域リング型チタンサファイア再生増幅器を開発した。チャープパルス増幅法と再生パルス整形技術により、出力エネルギー10mJ以上の2波長フェムト秒レーザー光(波長間隔120nm)の発生に成功した。
青山 誠; 山川 考一; 赤羽 温; Ma, J.; 井上 典洋*; 上田 英樹; 桐山 博光
Optics Letters, 28(17), p.1594 - 1596, 2003/09
被引用回数:264 パーセンタイル:99.26(Optics)チャープパルス増幅法(CPA法)の進展により、近年、極短パルス・超高ピーク出力レーザーの性能は飛躍的に向上しており、10W/cmを超えるレーザー集光強度が達成されている。実験室サイズのレーザーシステムで、より高いピーク強度を達成するために、われわれはペタワット(PW)チタンサファイアレーザーシステムの開発を行っている。この達成のためには大口径チタンサファイア増幅器における寄生発振の抑制と理論限界での高効率増幅、そして30fsまでパルス幅を再圧縮する技術の開発が不可欠となる。本PWチタンサファイアレーザーシステムは、これまでに開発された100TWチタンサファイアレーザーシステムから得られるレーザー光を直径8cmのチタンサファイアブースター増幅器によりPWレベルまで増幅するよう構成されている。このような大口径増幅器で高効率増幅を達成するには、寄生発振の制御が不可欠となり、このためチタンサファイアと同等の高屈折率(n=1.7)を有する熱可塑性プラッスチックを結晶の周囲にクラッディングとして用いる技術を開発した。その結果増幅実験では、励起エネルギー65Jに対して37.4Jを達成した。ここで得られた増幅効率はグリーン光で励起されるチタンサファイア増幅器の理論限界に及ぶ。また、パルス圧縮後に30fsのパルス幅を得るため、溝本数が異なる回折格子をそれぞれパルス伸張器と圧縮器に用いて、レーザーシステムの高次分散補償を行った。実験で得られたレーザー光のパルス幅は32.9fsであり、これによりピーク出力0.85PWを達成した。このピーク出力,エネルギーはチタンサファイア結晶を用いたレーザーシステムでは世界最高性能である。本システムの詳細な報告を論文に発表する。
河仲 準二; 山川 考一; 西岡 一*; 植田 憲一*
Proceedings of Conference on Lasers and Electro-Optics / Quantum Electronics and Laser Science Conference (CLEO/QELS 2002), p.CPDC8_1 - CPDC8_3, 2002/00
光量子科学研究センターでは次世代超高ピーク出力レーザーとして半導体レーザー直接励起によるYb系固体レーザーの開発を行っている。これまでYb:YLF結晶を低温に冷却することにより超高ピークレーザーに必要なレーザー特性が格段に改善させることを分光学的に示唆してきた。今回、同材料を実際に液体窒素温度に冷却してチャープパルス再生増幅実験を行い、レーザー特性の向上を実験的に実証した。この結果、半導体レーザー励起による同装置としてはパルスあたりのエネルギーを従来の3桁程度まで増加でき24-mJの世界最高出力を達成した。パルス圧縮後のパルス幅は600~900fsが測定された。これにより発振器と再生増幅器のみで構成される実テーブルサイズの本装置のみで30GW超のピーク出力が得られた。
青山 誠; 張本 鉄雄*; Ma, J.; 赤羽 温; 山川 考一
Optics Express (Internet), 9(11), p.579 - 585, 2001/11
被引用回数:22 パーセンタイル:70.18(Optics)チャープパルス増幅法により、超高出力フェムト秒レーザー光発生が可能となり高強度光電場と物質との相互作用の研究やX線発生等に関する研究が盛んに行われている。レーザーとプラズマとの相互作用研究においては、高効率にレーザーエネルギーを輸送できるなどの利点によりレーザー光の短波長化が求められている。さらに非線形結晶を用いた波長変換により、プラズマ実験で重要になるレーザー光のコントラスト比の向上が期待できる。今回、高強度レーザー光高効率波長変換を目指し第2高調波発生実験を行った。実験には厚さ1mmのKDP結晶(typeI)を用いた。また基本波レーザー光はチタンサファイアCPAレーザーシステムの前段増幅部を用い、中心波長とスペクトル帯域は再生増幅器中のスペクトルフィルターにより制御され、中心波長800nm,パルス幅134fsである。実験では強度が192GW/cmのときにエネルギー変換効率約80%が得られた。本結晶厚では、分散による第2高調波のパルス幅伸張はほとんど無視できる。本波長変換では複雑なレーザー制御を必要とせず、簡便なセットアップで高効率に波長変換を行うことができる。
河仲 準二; 西岡 一*; 井上 典洋*; 植田 憲一*
Applied Optics, 40(21), p.3542 - 3546, 2001/07
被引用回数:55 パーセンタイル:89.04(Optics)Yb系固体材料は半導体レーザー(LD)直接励起が可能な高出力レーザー材料として注目されている。中でもYb:YLFは幅広い蛍光スペクトルを有することから超短パルスの発生・増幅が可能なため、次世代LD励起超高ピーク出力レーザー用レーザー媒質の有力な1つである。本論文では、LD励起によるYb:YLFレーザーの室温発振に初めて成功した。得られた25nmにわたる広帯域の波長可変幅から最短で40fsの超短パルスの発生・増幅が可能であることがわかった。また、50%にのぼる高いスロープ効率が得られたことから、今後LDの高輝度化が進み100kW/cmを超える高強度励起が可能になれば高いエネルギー変換効率が得られることを明らかにした。さらに、Yb:YLFの低温分光を行った結果、Yb:YLFを70K以下に低温冷却することにより38nmにわたる幅広いレーザー利得や高効率が現状のLD励起強度においても得られることを明らかにした。
加藤 義章
レーザー研究, 29(4), p.211 - 217, 2001/04
チャープパルス増幅法による高ピーク出力レーザーの出現は光科学に極めて大きな変革をもたらした。高強度場により励起された電子は相対論的な振る舞を示し、これを利用した新しいX線発生法(ラーマー放射,逆コンプトン散乱)等がシミュレーションにより提案されている。光量子科学研究センターでは実用的な100テラワットレーザーの開発を行い、それを用いた高強度場の実験を開始している。加えて現在は高強度場による超小型加速器の開発も行っている。当研究センターでは高ピーク出力レーザーの応用研究を広く行っており、特に応用志向の基礎研究に重点を置いておりさらにそれらの実用化への発展を目指している。
河仲 準二; 西岡 一*; 井上 典洋*; 久保田 能徳*; 植田 憲一*
XIII International Symposium on Gas Flow and Chemical Lasers and High-Power Laser Conference (Proceedings of SPIE Vol.4184) (CD-ROM), 4 Pages, 2000/09
チャープパルス増幅の発明以来、幅広い発光スペクトルを有するチタンサファイア結晶を用いて超短パルス・超高ピーク強度レーザーの開発が盛んに行われ、これらを利用した応用研究が活発化してきている。これに伴い小型・安易操作性の観点から半導体レーザーの直接励起による全固体超高ピーク強度レーザー実現が強く望まれている。Yb:YLFとYb:glassは幅広い発光スペクトルを有し、吸収波長が高出力半導体レーザーの発振波長と一致することから、次世代の超高ピーク強度レーザー材料として注目されている。しかし、高効率・広利得幅を得るためにはレーザー下準位の再吸収を十分に飽和できる高強度励起が必要であり、現在の半導体レーザーの集光強度では難しいことがこれまで実験で示された。今回、Yb:YLF及びYb;glassの低温における吸収・発光スペクトルを観測した。その結果、室温時と低温時において断面積及びスペクトル形状に大きな差異が生じ、Yb:YLF及びYb:glassを低温に冷却することにより半導体レーザーを励起光源とした場合にも高効率・高利得幅が得られる可能性が高いことを示した。
山川 考一; Barty, C. P. J.*
IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics, 6(4), p.658 - 675, 2000/08
被引用回数:49 パーセンタイル:61.07(Engineering, Electrical & Electronic)ピーク出力100テラワット,パルス幅19フェムト秒,繰り返し10Hzで動作するチタンサファイアチャープパルスレーザーシステムの設計,性能,特性評価を中心にして、近年の10フェムト秒領域でのマルチテラワット光パルス発生の進展について紹介する。また、本システムのペタワットレベルへの出力増強の可能性と、このようなレーザーによって生成される超高強度場におけるいくつかの応用研究について議論する。
山川 考一; 松岡 伸一*; 青山 誠*; 加瀬 貞二*; 赤羽 温; 宅間 宏*; C.P.J.Barty*
Inst. Phys. Conf. Ser., (159), p.645 - 648, 1999/00
われわれは、高ピーク出力・極短パルスチタンサファイアレーザーの開発を進めてきた。システムはパルス幅10fsの光パルスを発生する全固体自己モード同期チタンサファイア発振器、本発振器からの光パルスのパルス幅を拡張するパルス拡張器、3台のチタンサファイア増幅器及びパルス圧縮器より構成されている。発振器からの光パルスは、シリンドリカルミラーを用いたパルス拡張器によって約170,000倍の1.7 にまで拡張される。パルス幅の拡張されたチャープパルスは再生増幅器により~10mJに増幅され、その後、再生増幅器からの出力光は4パス前置増幅器に注入される。本増幅器ではNd:YAGレーザーの励起入力700mJに対し、出力エネルギー340mJが得られる。その後、前置増幅器からの出力光は4パス主増幅器において増幅され、励起エネルギー6.4Jに対し、3.3Jの出力エネルギーが得られている。そしてこの増幅光は真空中に配置された回折格子対によりなるパルス圧縮器でパルス圧縮され、その結果、パルス幅18.7fs、出力エネルギー1.9J、ピーク出力102TWのレーザー光を10Hzの繰り返し数で発生することに成功した。
松岡 伸一*; 山川 考一
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 37(11), p.5997 - 6000, 1998/11
被引用回数:4 パーセンタイル:23.96(Physics, Applied)我々は広帯域バンド幅、極短パルス増幅のモデルを開発した。このモデルは、チタンサファイア結晶をレーザー媒質として用いたレーザー増幅器における、再生パルス整形(regenerative pulse shaping)、利得狭帯化(gain narrowing)、利得飽和(gain saturation)の効果を含んだチャープパルス増幅の計算手法である。このモデルにより、再生パルス整形法すなわち薄膜エタロン板を用いることによって利得狭帯化及び利得飽和の両方の制御が可能であることを示した。さらに、ピーク出力100TW、パルス幅サブ20fsのレーザーパルスを高効率で発生可能なチタンサファイア増幅システムの最適設計を行った。
山川 考一; 青山 誠*; 松岡 伸一*; 加瀬 貞二*; 赤羽 温; 宅間 宏*
Optics Letters, 23(18), p.1468 - 1470, 1998/09
被引用回数:200 パーセンタイル:98.73(Optics)我々は、高ピーク出力・極短パルスチタンサファイアレーザーの開発を進めてきた。システムはパルス幅10fsの光パルスを発生する全固体化自己モード同期チタンサファイア発振器、本発振器からの光パルスのパルス幅を拡張するパルス拡張器、3台のチタンサファイア増幅器及びパルス圧縮器より構成されている。発振器からの光パルスは、シリンドリカルミラーを用いたパルス拡張器によって約170,000倍の1.7nsにまで拡張される。パルス幅の拡張されたチャープパルスは再生増幅器により~10mJに増幅され、その後、再生増幅器からの出力光は4パス前置増幅器に注入される。本増幅器ではNd:YAGレーザーの励起入力700mJに対し、出力エネルギー340mJが得られる。その後、前置増幅器からの出力光は4パス主増幅器において増幅され、励起エネルギー6.4Jに対し、3.3Jの出力エネルギーが得られている。そしてこの増幅光は真空中に配置された回折格子対よりなるパルス圧縮器でパルス圧縮され、その結果、パルス幅18.7fs、出力エネルギー1.9J、ピーク出力102TWのレーザー光を10Hzの繰り返し数で発生させることに成功した。
西村 昭彦; 大図 章; 杉山 僚; 丸山 庸一郎; 有澤 孝; 宅間 宏; Nees, J.*; Biswal, S.*; Mourou, G.*; 大和田 進*; et al.
Technical Digest on CLEO'98, P. 177, 1998/05
レーザー上準位からの励起がなく量子効率が高い次世代超高出レーザー材料としてイッテルビウムガラスがある。30J/cmを超える高い飽和フルエンスを利用し、1.03ミクロンを中心とした幅広いバンド幅を活用して小型のレーザーシステムが可能となる。一方、この特性を最大限活かすためには半導体レーザー直接励起が必要となるが現時点ではコストの問題がある。このため、チタンサファイヤの長尺ロッドを用いてフラッシュランプ励起による高エネルギー励起光源を開発した。出力は793nmで12ジュール、920nmで6ジュールの高エネルギーパルスを得ることができた。発表ではレーザーの構造と発振特性について述べる。
山川 考一
Proceedings of International Symposium on Environmental-Conscious Innovative Materials Processing with Advanced Energy Sources (ECOMAP-98), p.215 - 223, 1998/00
原研・関西研究所では、新しい光量子科学分野における様々な基礎・応用研究を目的に、小型で繰り返し動作が可能な極短パルス・超高ピーク出力レーザー(Tレーザー)の開発を進めてきた。本招待講演では、最近開発に成功した世界最高のピーク出力100テラワット(テラワット=10ワット)、パルス幅19フェムト秒(フェムト秒=10秒)、繰り返し数10Hzの超高出力・極短パルスチタンサファイアレーザーシステムを中心に、本Tレーザー開発において最も重要となる極短パルス(パルス幅~10fs)レーザー光の発生とその増幅過程におけるレーザー制御技術の現状について紹介すると共に、このようなレーザーを用いた応用研究を紹介する。また、更なるピーク出力の向上と短パルス化によるペタワット級レーザーの開発についても言及する。
西村 昭彦; 大図 章; 杉山 僚; 丸山 庸一郎; 有澤 孝; 宅間 宏*; Nees, J.*; Biswal, S.*; G.Mourou*; Erickson, E.*; et al.
Solid State Lasers VII, 3265, p.234 - 241, 1998/00
レーザー発振上位準位からの励起がなく量子効率がイッテルビウムガラスは高い飽和フルエンスと1.03ミクロンを中心に幅広いバンド幅を持ち、半導体レーザーにより直接励起可能なため、小型・高効率のCPAレーザーとして有力な材料である。一方、この特性を十分生かすためには高強度の励起のロングパルスの励起が必要であるが、現在は1ジュールを超えるレベルのレーザーは存在しない。このためチタンサファイアの長尺ロッドを用いてフラッシュランプ励起による高エネルギーレーザーを開発した。フリーランニング発振器から793nm波長で12ジュール、920nm波長で6ジュールを得ることができ、イッテルビウムガラスCPAレーザーの研究開発に供することが可能である。
山川 考一
レーザー学会研究会報告, 00(RTM-96-29), p.27 - 33, 1996/11
我々は、高輝度・極短パルスレーザーを用いた様々な応用研究を目的として、ピーク出力100TW,パルス幅20fs,繰返し数10Hzで動作するチタンサファイアレーザーシステムの開発を進めている。発振器からの光パルスは、シリンドリカルミラーを用いたパルス拡張器によって約100,000倍の1nsにまで拡張される。パルス幅の拡張されたチャープパルスは、再生増幅器により最大13mJにまで増幅され、その後、再生増幅器からの出力光は4パス増幅器に抽入される。本増幅器では、Nd:YAGレーザーの励起入力760mJに対し、出力エネルギー280mJが得られる。この段階でパルス圧縮を行うことにより、10TW級の出力を達成する予定である。その後、4パス増幅器からの出力光は、全出力エネルギー7JのSHG Nd:YAGレーザーで励起される2パス増幅器に抽入される。2パス増幅器からの増幅光(~3.5J)は真空中に配置された回折格子対よりなるパルス圧縮器でパルス圧縮される。パルス圧縮器の全体効率が約60%であると予測されるので、パルス圧縮後の出力エネルギーとして~2J/パルスが期待できる。
山川 考一*
OQD-96-14, 0, p.29 - 38, 1996/03
近年、急速ないきおいで進展を続けている極短パルス・高出力レーザーシステム(Tキューブレーザー)の開発における現状を著者の行った最近の実験結果を中心に紹介発表を行う。特に、これまで短パルス化の最大の障壁となっていた利得狭帯化(Gain Narrowing)をいかに制御するかについて言及する。